コーヒーのはなし

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僕の日々の営みの一つとして、コーヒーがあるのですが、それについてでも少し。

以前、フィリピンに三ヶ月ほど滞在していた頃、フィリピンのインスタントコーヒーがマズすぎたために、自分で淹れなくてはならぬと発起し、たのですが、フィリピンにはまるでコーヒードリッパーという概念すら存在しないようだったので、ペットボトルを切って作ったドリッパーでの抽出から始まったのですが、現在では生豆から手網で焙煎し、ネルドリップで淹れる、というやたらと手間のかかる作業にまで悪化(?)してしまいました。

ふと冷静になって、僕がコーヒーを飲むまでの作業工程を記してみると、

  1. 生豆を規定量(現在は166~7gでやっています)量り、欠点豆を一つ一つ手で取り除く(ハンドピック)
  2. それを手網に入れて、カセットコンロや軍手、ストップウォッチなど一式を揃えて、屋上へ*1
  3. 焙煎(20分前後。その間、シャーカシャーカシャーカシャーカ網振りっぱなし)
  4. 焙煎終了と同時にうちわで冷却し粗熱を取ったら、紙の上に広げて常温に戻しつつ、焙煎後のハンドピック
  5. 一日置く(豆内部に充満した炭酸ガスを抜くため)
  6. 湯を沸かす(沸いたら温度計を入れておく)
  7. 焙煎豆をハンドミルに14~15g入れ、ガーリガーリガーリガーリ挽く
  8. 冷蔵庫からネルを出し、絞ってコーヒーカップにセットし、電子レンジで30秒加熱(ネルとカップを温めるため)
  9. ネルを枠にセットし、挽いたコーヒー粉をいれ、スプーンの柄で中心に穴を開け、85℃*2の湯でコーヒー粉全体を湿らせ、30~60秒*3、ソーサーをフタとしてかぶせて蒸らす
  10. フタを取って、抽出。140~150mlほど取れたら終了。
  11. コーヒー粉を捨て、ネルを水洗いし、時々煮沸。タッパーで水に浸して冷蔵保存*4
  12. 飲む

と、こうして眺めてみると、コーヒー一杯のためになんと遠い道のりかという気がしてきました。まぁ一度焙煎すれば10杯分弱くらいは取れますが、ネルで淹れるだけでもまぁまぁの手間で、インスタントコーヒーとかと比べると何十倍の手間だろうという感じで、そんなこと考えてたら段々辞めたくなってきましたが、まぁ明日も変わらずネルで淹れるのだろうと思っています。もちろん、インスタントコーヒーや、巷の「インスタントな」コーヒーと比べたら格段に美味しい、というのもあるのですが、なにより楽しいというのがあります。中南米やアフリカ等でコーヒー農家を営む、ということを除けば、一杯のコーヒーの味を作り上げる過程のほぼ全てに関わることになるので、コーヒーのことがよく分かってきます。

写真は、エルサルバドルのSHG等級*5ラ・ホヤ農園の豆を焙煎したものと、それを淹れたコーヒーです。他にも今自宅には、インドネシアのマンデリンG1*6と、コロンビアのスプレモ*7 エスメラルダ*8があるので、今後もちょくちょくコーヒーの話題も挟めていけたらと。

しかし、一応言っておきますが、素人の手網焙煎、当然ながら焙煎のプロには敵いません。僕は、下北沢のcafe useというお店を贔屓にしているのですが、普通にそこで豆を買ったほうが安定して、美味しいコーヒーが飲めます。が、単純な金銭的コストパフォーマンスで考えれば、100g 500円前後の焙煎豆と比べて、1kg 1,000円程度の生豆は、焙煎による20%の重量減を差し引いても、単純計算4倍のCP……とは言え手間を考えたら負けなので、まぁこれはもう趣味の世界ですね。。

とは言え、カルディで買ったりするよりは美味しい豆が焼けてるんじゃないかなーなんて。。
まぁ鮮度や豆の品質の問題がありますからね。

*1:これは、家の中でやるとチャフと呼ばれる薄皮が飛散しまくるために、屋外でやっています。が、火力の不安定さと風の影響があるので、基本的には屋内でやってしっかりお掃除するのをオススメします

*2:これは焙煎豆の味と挽き具合との兼ね合いで調整することも有

*3:場合によってはもっと長くすることも

*4:乾燥させてしまうのがタブーのため。ちなみに使わない日も水を替えないとNG

*5:コーヒーの等級というのも中々面白く、基準が国ごとに異なります。異なるというのは、基準が厳しい甘いとかでなく、評価するポイントが違います。エルサルバドルやグァテマラ、パナマなどの中米の国々では標高による評価で、高ければ高いほど良いとされています。ちなみにエルサルバドルのコレはStrictly Hard Grownの略で、一応最高等級です。こちらに詳しい→コーヒー豆の等級

*6:これも最高グレードではありますが、欠点豆の割合のみでの評価

*7:これまた最高グレードですが、こちらは豆のサイズのみでの評価

*8:その中でもさらに厳しい基準…らしいのですが、ちょっとこれについては確証となるソースが得られていないので、ちゃんと理解できてないです。。

告知とか

たまには告知でもしようと思います。

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吉田和史×夜窓というバンドをやっています。

シンガーソングライターの吉田和史さん(右から二番目)率いる四人組です。どんなバンドか、と問われると毎度困っているのですが、「フォーク・ロックのジャズ風味」とか「アコースティックなアシッド・フォーク」とか「メロウな感じ」とか「浅川マキ」とかなんとか言って答えています。

昨年7月より活動しているのですが、早々に9月には1stシングル『円山町ラプソディE.P.』をリリース、また現在1stフルアルバム『ルーザーズ -終わりの街』を制作中、今年中にリリース予定、とまぁまぁ精力的に活動しています。

このアルバムが、なかなかに良い感じの音になってきていて、これはこれでお楽しみにしていただきたいのですが、この作業が落ち着いてきたのもあり、今後はそこそこコンスタントにライブを行っていこうと思っています。

とは言え、実はアルバム作りながらも毎月一回は定例ライブを行っていて、その会場が新宿御苑前駅近くのtoiletというバーなのですが、なんと看板すらなく、事前に調べたり誰かに連れてきてもらわないと、まず入ることはないであろう超隠れ家バーなのです(ちなみに上の写真もtoiletで撮影)。アルコールランプの灯りに照らされた店内はとても独特な、しかしリラックスできる雰囲気で、その空間も含めて楽しんでいただくといった趣でのライブを毎月第四日曜日に行っています。

というわけで今月はとりあえず、

  • 5/25(木)…山崎怠雅企画「生まれて、すみません」@荻窪 Club Doctor
     Open:19:00 Start:19:30 前売/当日:¥2,000/¥2,300(+1Drink)
     出演:吉田和史×夜窓, Deena, 山崎怠雅クインテット
  • 5/28(日)…吉田和史×夜窓 定例ライブ(ゲスト:aqubi)@新宿 bar toilet
     Open:18:30 Start:19:00 当日:¥2,000(+1Drink)
     出演:吉田和史×夜窓, aqubi

と、二本のライブに出演します。25日は山崎怠雅さんのバースデーライブ、28日は毎月の定例ライブですが、ゲストとして僕の大学ジャズ研同期+先輩のエレクトロユニットaqubiを迎えます。このユニットもなかなかによい手触りをしていて、個人的にtoiletで聴いてみたかった公私混同オファーです。ちなみにピアノの杉本は先述のアルバムにも何曲か参加してもらってますので、ライブの際にも弾いてもらう予定です。

また来月は、夜窓としては7日(水)に大塚Meetsの9周年イベントの一環で出演、25日(日)にはtoiletでの定例ライブを行うほか、僕個人としては、27日(火)に荻窪ベルベットサンにてスガダイローさん主催OKHP JAMにも出没する予定です。

『正解するカド』がおもしろい

おもしろい。おもしろいです。

実は本作は今期なぜかノーマークだったのですが、先日知人にオススメをいただいて、昨晩の間に1~5話を一気見。

よくよくチェックしてみれば、個人的に2013年春アニメ中イチオシであった『翠星のガルガンティア』の村田和也氏が総監督。脚本を担当した小説家の野崎まど氏は、初めて名前を拝見しましたが、ポスト伊藤計劃なんて文字も見かけるような気鋭の作家のようで。

内容はしっかりSFです。突如発生したカドと呼ばれる謎の巨大な立方体。そこから現れたこれまた謎の存在ヤハクィザシュニナは人類との対話を望み…というような筋書きです。物語進行的に少しご都合主義っぽいところであったり、ツッコミどころもなくはないのですが、個人的にはワクワクが勝ってしまっていて、今のところ楽しく見ています。

個人的に、本作にはかなり色々な要素を感じます。謎の立方体カドについては『戦闘妖精・雪風』の超空間通路を彷彿とさせます*1し、また、主人公・真道幸路朗が外務省所属の官僚・交渉官であり、彼がザシュニナと人類の仲介役に立つことになり、それが物語の中心になっているのですが、政府・官僚システムが未知の事象に対してどう対処していくか、というのはどうしても『シン・ゴジラ』を想起せざるを得ませんし、また、この交渉人像はPSPゲーム『銃声とダイヤモンド』の主人公・鬼塚陽一と重なるところがあります*2。そして多分、こういうのもっといっぱいあります。

本作が面白いと思うのは、カドやザシュニナといった装置を利用して、世界に極端な"if"を突きつけてくるところです。以前にとある飲みの席で「もし、薬価一円程度で、ありとあらゆる病気を治療できる薬が開発されたらどうなるか」という話題が出たことがあったのですが、それに近いような話です。ちなみにその場では色々な想像が飛びました。開発者が暗殺される、政府か大企業によって隠蔽される、その薬そのものではなくその薬を分析して「現状知られているよりはちょっといい薬」が少しずつ発表されていく……などです。そういった思考実験を楽しめるのが、本作の一つの大きな魅力であると思います。

また、交渉にフォーカスしているのも面白い点です。と言っても、今のところ交渉という点ではそこまで大きな展開はない*3のですが、今後恐らく物語の筋に大きく絡んでくるものと思われます。日本最強の交渉人という位置づけの主人公・真道がザシュニナサイドに所属する「仲介人」であり、ヒロインである徭沙羅花が日本政府代表の交渉人である、という構造も面白いです。

なにしろまだ謎も多く、今後の展開が読めないのですが、5話時点で既に世界は大変なことになっているので、とりあえず今後の放送を楽しみにしています。これから見る方で、視聴可能な環境にある方は是非前日譚である0話から見るのをオススメします。物語の筋を理解するのには1話からで問題ありませんが、真道のキャラクターをよく理解できますし、報われないヒロイン感満載でもう既に人気出てるんじゃないかと思われるキャラ・夏目律の心情の理解の一助にもなりそうです。

*1:こういった類型の物語は他にもありそうな気もしますが、実際どの程度雪風と親和性というか関連あるんでしょう

*2:もっとも、鬼塚はもうちょっとふざけた男なのでキャラクターがかぶってはいないのですが

*3:…ように見えますが、もしかするとよくよく考えたら、これまでの真道の対応如何で全く違う展開があったりするかもしれない…