続・勉強について

以前、「勉強について」という記事を書いたことがあり、それとは趣旨がだいぶ異なるのですが、同じキーワードではあるので"続"としてみます。

読む人が読めば分かると思いますが、とある超絶的な記憶力を持つ方と知り合う機会があり、その方とお話させていただいた中で「記憶の宮殿」というキーワードが出てきました。詳しい内容や作り方は上記の記事などを参照していただくとして、ざっくり言うと「頭の中に現実の場所をモデルにした空間を作って、そこに覚えたいものを配置することによる記憶術」のようです(合ってるかな…)。ちなみに僕はまだ試してないのでできませんが。。

これを含めて色々とお話を伺っていると、なるほどという感じもあり、僕が考えていた記憶や勉強の考え方にも通ずるものがあるなぁ、と。僕自身は学生時代に全く勉強熱心ではありませんでしたが、今になってみればいくらでも効率的に勉強することはできそうに思え、何かを勉強したい人のほんの少しの一助になればと書き置いておきます。

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こんなグラフがあるくらい「人間は忘れる動物である」と言われていますが、僕はそんなことはないと思います。

僕は、人間はあんまり何かを忘れるなんてことはないと思います。

とは言え、僕だって日常生活で「忘れた…」ということは多々あります。矛盾していますね。どういうことかというと、日常において発する「忘れた」は、僕は厳密には忘れたわけではないと思っています。厳密にはそれは「思い出せない」だと考えています。

何故なら、もし人間が何かを完全に忘却したとしたら、その情報に再び触れたときの反応は「ああそうだった」「忘れてた」ではなく、「そんなこと知らない」「聞いたことがない」になるはずだからです。そういう意味で、自分が何かを忘れたということを主観的に正確に知覚することは不可能です。元から知らないのか、忘れたのかの判断は不可能で、誰かから客観的に「あなたは知っているはずだ」と言われても、厳密な真偽判断は不可能だからです。何かの証拠でも残ってれば、まぁかなり確度は上がりますが、100%には達しません。

さて、勉強について結論を言ってしまえば、僕たちは何かを学習しようとするとき、それを記憶することよりも、思い出せるようにする、ということに焦点を当てるべきだということです。インプットの方法を考えるよりも、アウトプットの方法を考えるべきです。引き出しへのしまい方ではなく、引き出しからの出し方を訓練すべきということです。記憶術というよりも、回想術とでも言うべきかもしれません。

これが、僕の中での如何に勉強すべきかの根幹にあります。そのため、何かをひたすらじっと見ること、聞くこと、或いは、ただ教科書や黒板などを見ながら書き写すこと等は、勉強としては非効率的になります。また、味覚の記憶にも通じます。何かを食べたり飲んだりする前に、その味を予測するという習慣を身につけると、味覚は鋭敏になると聞いたことがあります。これにも記憶が絡んでいると考えられ、味を予測するということは、今口にしようとしているものの味の記憶データベースを参照した上で行うこと*1です。繰り返せば、味覚の記憶はより強化、つまり思い出しやすくなり、比較評価の精度は高くなるでしょう。

では如何に思い出しやすくするか、それは人それぞれ方法がありそうで、その一つが「記憶の宮殿」なのでしょう。脳には一見奇妙なクセがあったりしますので、脳科学的アプローチによって、その方法を導き出すことも可能でしょう。

ちなみに僕の場合は、思い出さなければならない部分を絞る、ということをよくやります。散々記憶のことを書いていたくせに、学生時代は歴史が大嫌いで全然覚えてなかったりするのですが、今「そういえば徳川将軍15代覚えてないなぁ」と思ったので、試しに覚えてみました。

とりあえず今覚えている、1.家康 3.家光 5.綱吉 8.吉宗 15.慶喜だけ書いてみて、穴になってるところだけ覚えようと考えました。それで見ると、覚えていない中では2代秀忠を除くと全員、家○パターンです。では「ただひとり」→「ひでただ」と覚えたところで、4代は家綱なので綱吉への流れで簡単に覚えられ、残りは6,7代と、9~14代。まぁ全員、家○系なので、二文字目だけ覚えればよし。「宣継」という名前を勝手に作ったり、「シゲハルナリヨシサダモチ」と三回くらい唱えたり、勝手に何かとこじつけたりしているうちに、覚えられ、もとい思い出せるようになりました。あとは、明日くらいに何も見ずに思い出してみて、ちゃんと再生できるか確かめる、くらいです。所要時間にして五分かかったかどうかくらいでしょうか。

とは言え、例で挙げといてなんですが、歴史とかの学習に関してはむしろ情報量を増やす、なんて方がいいような気はしています。じゃあこの徳川十五代はそれぞれどんな時代に将軍を務めたのか、何をしたのか、どんな奴だったのか、何か逸話はあるか、など、色々調べまくるというのが、楽しいし、印象に残ってよく覚えられるようです。そして、それを翌日に人に話したりすればもう完璧でしょう。

記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)

中学生の時分には、こんな本を読んでいました。池谷裕二氏はそれからも色々と本を出していて、多分もっとポップで面白い著作がいっぱいあると思いますので、それらを手にとってみると面白いと思います。

*1:或いは、全く口にしたことがないものでも、それに類する思われるものなどの味を用いて予測するでしょう